かじわら康弘の考え

【景気回復】実需をつくり、地域でお金が回る仕組みを

■アベノミクスは失敗する
アベノミクスは円安と株高をもたらしましたが、実需はさっぱり伸びていません。実質賃金は低下し、消費も減退しました。マネーサプライ(日銀が発行した通貨供給量)はこの数年で3倍以上になりましたが、いわゆるゼロサム社会でトリクルダウンなんてものはありません。
この数十年、世界は同じことを繰り返してきました。金融緩和で膨大なマネーで景気を刺激してきましたが、巷にお金が回るのではなく、資産価格を上昇させ、バブル経済を招きました。バブルが崩壊すると、政府は税制や公的資金、雇用政策で銀行や大企業を守り、労働者や消費者を犠牲にしてきました。富裕層は益々豊かに、貧困層は益々貧しく、そして中間層を細らしてきたのです。
■アメリカの後追いを続ける日本
アメリカ大統領選挙で共和党候補のトランプや社会民主主義者と自認するサンダースが注目を集めています。アメリカ社会は歪みや格差がとことん拡大し、限界に達している象徴的な事象だと思います。
日本もバブルが崩壊して以降、デフレが続いています。大企業を助けるために非正規雇用が拡大され、法人税減税と消費増税が行われました。この20年間を比較すると、国の財政赤字は4倍強に膨れ上がり、非正規雇用が激増しました。それに伴って結婚や出産できない若者が増加し、少子化が進展し、人口も減少し始めました。消費は低迷し、地域経済は疲弊の一途を辿っています。日本の貧困率はアメリカに次いで世界2位、子供の貧困は6名に一人。その一方で大企業は海外に生産拠点を移し、内部留保は3.5倍にもなりました。日本はまさしくアメリカを追いかけているのです。
■地方と弱者を見放した安倍政権
安倍総理は金融緩和、法人税減税、雇用法制の改悪、TPPなど強い者の側に政策を次々と行いました。安倍総理は憲法改正に執着していますが、そす。憲法13条には人間の尊厳が規定されています。人間は生まれながらにして自由で平等で幸福を追求する権利がある(天賦人権説)」というものですが、自民党は「ものその立場に立たない」と言っています。平たく言えば、財政赤字や国際競争が厳しい中で国はもう国民一人一人を守ることができない、むしろ一人一人が国のために何かをしろと言っています。
言葉では地方創生と言っていますが、本気度が問われています。農業や人口減少が進む地方に投資してもリターンがないと割り切っているのではないでしょうか。官僚は首都圏にしかいないし、大企業にしか天下りません。グローバリゼーションの時代に首都圏と大企業だけを守れば、日本を支えることができると開き直ったのだと思います。
■実需を作るしかない
大型の公共事業で長いトンネルを掘ってもゼネコンの掘削機の償却費にしかなりません。地元の土木業者には仕事がありません。お金は地方に落ちるわけではなく、ほとんど都会に持って帰ることになります。
今は躊躇せず財政出動が必要だと思います。小規模な公共事業であれば、地方でお金がぐるぐる回るのです。たとえば、街中の交差点改良によって右折レーンをつくれば、道路、家の改修や電気、水道など様々な仕事が生まれ、雇用が発生し、若者が就業できます。旧市街地での利便もよくなります。また、介護士や保育士の雇用条件を改善すれば、多くの人が仕事につくことができます。消費は拡大し、地域経済は活性化します。
バブル崩壊以降、強者を優遇した政策を転換し、もっと労働者に還元されていれば、賃金が上昇し、就業人口は増加し、国内消費は拡大したでしょう。そして、若者の生活が安定すれば、結婚し、子供を生み、急速な少子高齢化も緩和したでしょう。今日、日本が抱える大きな問題の多くを解決するのではないかと思います。